*ちょっとよく分からない.
俺が死んだらこの世界はどう変わるのかな。
その答えは、とっくに知っていた。
変わるものなんて一つとしてない、と。
知っていても期待したくなってしまうのだ。
日々を過ごす理由とか、俺の生きてる価値とか、
何のために俺はここにいるんだろうって、
きっと何か意味があると思って考え続ける。
毎日同じことをしてる訳じゃないのに、
色をもたなくて、
何の刺激もない日常。
そこに頑張る意味を探してるんだ。
けれど、ふと糸が切れる。
何もかも疲れた。
普段と違うことをすれば、俺は変われる。
そして気付いた。
今まで一度も、死のうとしたことがなかったことに。
*
今日は風が気持ちいい。
ビルの屋上だから当たり前か。
下から見上げるとあまり高く感じないのに、
いざ屋上に立ってみるとなかなかな高さである。
落ちたときの衝撃ってどんなもんなのかな。
どんだけ血出るんだろ。
一瞬で死ねるのかな、痛いのはちょっと嫌だ。
…怖かったりするのかな。
フェンスをまたいで、そのフェンスにもたれた。
少しあった不安は、
今乗り越えた小さな壁と共に目の前から消えていた。
飛べる、
そう思ったときだった。
『あなたのおかげで、頑張ろうって思えたの』
…なんで今思い出すんだ。
ずっと隣で見てきた笑顔が脳裏に浮かんだ。
もう過去だ。
でも―
俺が生きる意味だって言ってくれた君に、
もう一度会いたくなった。
今度は君が、
俺に生きる意味をくれますか?